BELL series. 流木と数式 (春樹と夏樹 十四歳)
打ち寄せる波の音と、澄んだ潮風を全身で感じる。ここは小さな砂浜ではあるけれど、海水浴場のちょっと先のテトラポットと岩場の山を越えないと辿り着けない場所である。だからこそ人が立ち寄らない、俺の唯一の癒しの穴場だった。
辛いことや悲しいことがあると、俺は必ずここを訪れる。ただただ、海風に吹かれるだけのために。
余計なものはいらないんだ。心からそう思った。そして、この世界で俺という小さなこの塊は、余計なものなのだ。
海に飛び込んでしまえるほどの勇気もなく、学校にいるはずの時間を持て余すだけの、誰からも必要とされない、真っ白な砂の上に鈍く光る一粒の無駄な黒い砂。死のうと思ってる奴は自分から死ぬなんて言わないんだって。そうかあ、じゃあ俺はそうだ。死ぬ死ぬ詐欺常習犯、いちばん楽にこの世界からいなくなれるテトラポットがひしめく岩場、そこに入り込まないように自衛してここまで来るのだから。
煙草を出して火をつける。深く吸い込んで吐く。つまんね、と呟いて、いつも顔に張り付いている気持ち悪い笑顔を外す。ほろりとこぼれた涙はいったいどんな色をしているんだろう。何が悲しいかって、それも分からない。ただの憂鬱。友達でもいれば変わるものだろうか。常時俺にくっついてくるうざったい奴なら産まれてくる前からずっといるけど。
ああ、あいつもここを知ってるんだった。でもあいつはひょうきんで友達も多い。こんなとこになんか来ないだろう。覚えてもないだろう。5歳の時に、ふたりで親の注意も聞かずテトラポットの上を駆け抜け見つけたこの穴場。
あいつがいる世界がいつもの当たり前だから、ひとりでいる時はなんだか不思議な感じがする。
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カテゴリー: お題
投稿日時: 2026/1/29 16:12
最終編集日時: 2026/1/29 17:26
つばめ
活字中毒。食えねえ文章ばっか書いてます。
オタクじゃないけどオタクみたいな話し方してしまう病。あとこころの病持ち。夜になると黒くなります。気に障ったらごめんね。悪気はないからタチ悪いね。悪いようにはしないんで よろしゅうお願いしやす
2025ー note もやってます
絵とか日記とか短編小説とか置いてます
良ければどうぞです
https://note.com/tsubame_haitani
Novelee:: 2024.08.22-