アリジゴク 第2話

アリジゴク 第2話
    「おい、あれ和磨だよな?」 「かずま〜‼︎来たのか‼︎」 本当に気が重い。“カズマ”なんて下の名前で呼ばれたのはいつぶりだろうか。俺は、同級生の咲口が若女将をしている旅館「咲(さき)」に足を運んでいた。 「お、おう久しぶり。」 ぎこちない俺に、やつらは笑いを隠しきれない。 「相変わらずだなぁ」 そう言ってきた大輝(ダイキ)には流石にムカついてきたが、これでも一応、おれは大学准教授だ。どうせお金の話になればいくらでも形勢は逆転するだろう。まぁそんなにでしゃばりたいわけでもないし、自分のことを話したいわけでもないから、そんなことするはずないけれど。いや、あの頃の俺なら一番に自慢していたかもしれない。 
K.l
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大学一年です