140文字小説+α その114 「兄貴」

 今日は、兄貴の出所日。  3年前に捕まって以来、久しぶりに顔を見る。 「先輩、今から迎えに行く敷島の兄貴って、なんでパクられたんです?」  車を運転していた弟分が聞いてくる。  窓の外を流れる景色を見て、静かに答えた。 「万引き」 「ん、ああ、んん?」  そうなるよな。 「ま、万引き? 抗争でなんかやったとかじゃなくてですか?」
きと
きと
就労移行支援を経て、4度目の労働に従事するおじさんです。 あまり投稿は多くないかも知れませんが、よろしくお願いします。 カクヨム、エブリスタでも小説を投稿しています。