鏡の向こうの君

鏡の向こうの君
鏡の中の自分が、瞬きしなかった。 それに気づいたのは、朝の支度をしていたときだった。いつものように髪を整え、ネクタイを締め、鏡に映る自分を確認する。だがその日は、鏡の中の「僕」が、ほんの一瞬、僕よりも早く動いた。 「……気のせいか?」 そう思って仕事へ向かったが、違和感は消えなかった。電車の窓に映る自分、ビルのガラスに映る自分——どれも微妙に、何かが違う。表情が硬い。目が冷たい。まるで、僕を見ているのではなく、観察しているようだった。 その夜、鏡の前に立った僕は、意を決して話しかけた。
夜の祝福あれ☾·̩͙⋆
夜の祝福あれ☾·̩͙⋆
絵を描いたり、小説を書いたりするのが趣味な高校生。夜行性なので、夜に書くことが多いです。 現在は、「書く習慣」にも生息してます。名前も同じなので良かったら探してみて下さい