金木犀

 朝目が覚めると、庭の金木犀が咲いていた。  何をするより早く庭に出て、今年も咲きましたよ、と心の中で呟く。また、今年も。  何年前だったろうか、あなたに出会ったのは。  確か、大学生のとき。  あなたは先輩のくせに、初対面の後輩に満面の笑みで絡んでいくような人だった。でも優しくて、心まで綺麗な人。  いつのまにか憧れになっていた。僕の手が届くような人ではなかったけれど。
はのん
はのん
アプリ入れ直した出戻りです。 書きたいときに