第一回NSS『桜は永遠に知らず』

第一回NSS『桜は永遠に知らず』
 いつからだろう、貴方が狂ってしまったのは。  どうしてだろう、そうなってしまったのは。  そう何度も私は自問自答し続けた。別に貴方が悪いのではない、また、当然私も悪くはない。  「貴方は元々狂っていた」と言えば語弊が生まれるが、例年ではいつもの時期に、いつものように狂っていたのだ。  もしかすると、貴方が現れ始めるその日まで、ただ私たちが生きるこの世界が迷ってしまったことが要因なのかも知れない。  しかし、これは私の持論でしかないので本当かどうかさへ知ることはできない。  私はいつかあの日のままのありのままのあなたにまた出会う、告げることが出来る、そんな夢を今でもたまに見ることがある。  もう、迷うことはないから、もう、狂わせることはないから、どうか、どうか、返って来てくれませんか。  貴方は言ったでしょう。 「光刺す方で夢を見なさい」と
新野楓衣
新野楓衣
初めまして、新野楓衣(あらのふうい)です。趣味は読書とベースで芥川龍之介が好きです。しがない雪国の高校生ですがよろしくお願いします。