俺と猫と

俺と猫と
〔俺と猫とおばちゃん〕  俺は、ごく普通のサラリーマンで、ごく普通にマンションで一人暮らしをしている。いや、今は猫もいるから、一人と一匹暮らしか。  まぁ、マンション暮らしなので、当然ご近所さんもいる。  ご近所さん達との関係は別に悪くないと思う。朝会えば、「おはようございます」と言うし、日中会えば、「こんにちは」と挨拶するし、夜会えば「こんばんは」と言って、たまに世間話なんかしたりもする。  中でも、右隣の高田さんというおばちゃんには、お世話になりまくっている。  高田さんは旦那さんと二人暮らしの、普通のおばちゃんだ。おしゃべりで世話好きの、ドラマ、映画が大好きな人で、顔を合わせては、「このドラマ観たー?」とか、「ね、若いんだから、最近の子の中で流行ってるドラマとか教えてくれない?うちの息子に聞いてもさ、全然答えてくれないの。もう投げやりな感じでねー。」と、話しかけて来る。  いや、若いと言ってももうすぐ三十だぞ、とかは思うが、ある時そう言うと、「えー、若いじゃないの〜、なに言ってるの、まだまだでしょー。」と、背中をバシバシ叩かれて、「はい、これかぼちゃの煮物。あ、器かえすのは、いつでもいいから。」とおかずを渡された。  睦月が来る前のことである。
Tentomushi
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初めまして。Tentomushiと申します。 学生です。よろしく。