輪廻の先に

 ソレは、暗い空間に存在していた。  ソレは、とある一点を観察していた。  ソレが観察しているそこには、六つの階層からなる1つの世界があった。  ソレの目には、その世界の生命の営みが映っていた。  生まれ、生を謳歌し、死に、そして転生する。  その営みを、ソレはただ一心に見ていた。  その営みは、ソレの目には水面に浮かび、消えゆく泡沫のように映った。  見るものが見れば、鴨長明の方丈記の「淀みに浮かぶ泡沫はかつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし」という一説を思い浮かべたことだろう。  しかし、ソレはそのようなことは知らない。
水無月涙
水無月涙
高校2年 来年受験だというのに小説書いてるアホ 気まぐれで小説書きます カクヨムとなろうでも活動してます 歌詞書いたり曲作ったりしてるので投稿は不定期 気が向けば新しい話を投稿します