彼は誰の夢

彼は誰の夢
 −−(あぁ、夢だ…)。 ついさっきまでいた会議室ではなく、何処かで見覚えのある路地裏に立っていた。 明確に夢だ。なぜか頭が冴えて、そう答えを出す。 雑踏は聴こえてくるのに、人影は無い。 そんな不可思議さも、馴染んでしまう異様。空気感。  カツ、カツ、カツ……。 不意に聴こえた足音。革靴、というにはあまりにも響く。 気付くと、目の前に男が立っていた。 男。確かに男のはずだ。だが顔が見えない。 いや、見えないのではなく、『無い』のだ。顔そのものが。
オミちゃん
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文章好きのオミちゃんです。 ニワトリです。 どうぞ、よろしくです。