海豹
久しぶりに二人でお昼寝をしたの。その時はなんだか全てがあたたかくて、心地よかった。初夏も始まるって言うのに。二人で出かけても手なんて繋ぐことがなかったから、いつぶりかに繋いだ大好きな人の手は、やっぱり若い頃よりやわらかいようで硬くて、でも私のずっと愛し続けてきた手だった。
今が夢なのか現実なのかは分からないけど、さっきこの前ニュースで取り上げられてた山に暮らしながら作品をつくる夫婦の方と出会ったの。でも可笑しいの。目の前には水槽があって、その夫婦はシジュウカラの姿をしていたわ。なぜ見た瞬間にあの夫婦だと理解できたのかは未だにわかってない。きっと直感だわ。しかもね、私たちはアザラシだったのよ。シジュウカラとアザラシが水槽の前にいるってどんな状況?って戸惑う夫を前に笑い転げてしまって、危うく水槽に落ちそうだった。さすがに危機感を持ったわ。
さらにおかしいのがね、言葉を口から発しなくともそのご夫婦と言いたいことが通じあえて、謎の首輪?みたいなものを一緒に作ってみてと言われたの。材料なんてどこにもないのに。そう二人で顔を合わせてるとね、いつの間にかそこに幼い子が拾ってきたような貝殻やらきらきらしたものがいくつか落ちていたの。それを二人で、あーでもないこーでもないとか言いながら笑い合える時間がとても幸せだったわ。走馬灯の最後はあれがいいなぁ。
そうそう。できた首輪はね、あちらのお二人が器用に私たちの首にはめてくれて、そうかと思えばクラゲになって私たちより先に水槽に飛び込んだの。『おいで』って
最初見たときからどこが引っかかるような違和感を覚えてた水槽だったから少し怖かったけど、夫と二人で飛び込んだわ。するとね、どんどんクラゲさんたちが降りていくの。それを見ていると引っ張られるように私たちも降りていて、底に着いてしまったわ。
ふと横にいたクラゲさんたちを見ると、さらにぷるぷるした水のかたまりみたいになって最期は底に溶けていったの。あれ?と思ったときにはもう、私たちも水になろうとしてた。なんだか怖くて、二人で手を繋いで、目を見ながら水になってしまったわ。最後まであの人は私の大好きな人だった。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2026/7/14 13:50
はの
塵と海月。
多分恋愛系ばっか書いてる人
開始 2023/09/13