ひび割れた闇
放課後、誰もいなくなった教室で、椅子に座った細身で背の高い少年の前に、もう一人の少し小柄な少年が立っていた。背の高い少年はハインリヒ、もう一人はコンラートといった。
「ハインリヒ、君は本当に大丈夫なの?」
コンラートは不安そうに、いつも冷静なハインリヒの顔を見つめていた。最近のハインリヒはどこか様子がおかしかった。学校でも元気がなく、時折遠くを見るような目をしていた。体調が悪そうなときも多いが、それを隠すかのように彼は微笑み、決して本心を明かそうとしない。
「大丈夫さ、何度も言っただろ?」
ハインリヒは少し疲れたような笑みを浮かべて答えたが、その目はどこか遠くを見つめていた。彼の心の中には、誰にも言えない思いが沈殿していた。
「でも……最近、君、少し変だよ。何か隠していることがあるんじゃないか?」
コンラートはおずおずと言った。ハインリヒは少し戸惑った様子を見せたが、すぐにいつもの穏やかな表情に戻った。
「隠していることなんて、何もないさ。君が気にしすぎなんだよ、コンラート」
そう言って、ハインリヒは机の上に置いた教科書を閉じ、鞄にしまった。しかし、その動作もどこかぎこちなく、疲れ果てているようだった。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2024/9/25 16:58
おぐりん
初めまして。
性格:INFJ-t型、
HSP 、軽く病んでます。
ぼちぼち投稿していきたいです。