雨音の消えた通学路
雨音で耳に蓋をするように、傘で自分を隠すように、学生の頃そんな雨の日が好きだった。
でもあの日は……塞いでいたはずの音がしなかった。
私はどこか、声のない場所を探していた。
「……疲れた」
家も学校もうるさかった。言葉も空気も視線も。
『お隣のあの子は出来るんだからもっと頑張れるでしょう?』
『君ならうまくまとめれると思うから任せたよ』
『結局、あの子は真面目すぎて面白みがない』
期待や責任や結果の全てが私の周りを囲んで、足音をたてて迫ってくる。
6
閲覧数: 52
文字数: 6635
カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/6/14 0:20
最終編集日時: 2025/6/24 22:35
花瀬 詩雨
ハナセ シウと申します。
よろしくお願いします(՞ ܸ. .ܸ՞)︎♡
アイコン ノーコピーライトガール様