雨音の消えた通学路

雨音の消えた通学路
雨音で耳に蓋をするように、傘で自分を隠すように、学生の頃そんな雨の日が好きだった。  でもあの日は……塞いでいたはずの音がしなかった。  私はどこか、声のない場所を探していた。 「……疲れた」  家も学校もうるさかった。言葉も空気も視線も。 『お隣のあの子は出来るんだからもっと頑張れるでしょう?』 『君ならうまくまとめれると思うから任せたよ』 『結局、あの子は真面目すぎて面白みがない』  期待や責任や結果の全てが私の周りを囲んで、足音をたてて迫ってくる。
花瀬 詩雨
花瀬 詩雨
ハナセ シウと申します。 よろしくお願いします(՞ ܸ. .ܸ՞)︎♡ アイコン ノーコピーライトガール様