ゲームの始まり

沈黙が、刃のように場を裂いた。 誰もが息を潜める中、ただ一人、エミリウスだけが一歩、また一歩と男に近づいていく。   「……ここにあなたがいるってことは、もう……時間がないのね」   独白のような言葉が、彼女の唇からこぼれ落ちた。 シーリウスは、その圧倒的な存在感とは裏腹に、柔らかく、どこか愛しげな眼差しで彼女を見下ろしていた。 まるですべてを見透かすように。
佐伯すみれ
初めまして。拙い作家ですがよろしくお願い致します。他にもNola、小説家になろうでも活動しています。