鉄蜘蛛の城 第四十三話 “Blizzard”
核露(かくろ)とルリムが激突した。軻遇突智(かぐつち)と氷の刃の剣先が交差する。凪姫(なひめ)が応戦としてジェミニの力の鎌で斬撃を繰り出した。愛するものが傷つけられた怒りは強く、その斬撃は風のように早かった。双方。自身が所持しているジェミニの力で生まれた武器を強く振り下ろす。ルリムは両手で氷を生成してそれを防いだ。
「くっ…!」
「なんなのですか貴方は!?黒武人(くろぶじん)がジェミニの力に目覚めるなんて、心底気持ち悪いですわ!!」
ルリムがそう罵倒した瞬間、二人を氷で押し返し、そして彼女が両手を交差し、強く突き出す。核露と凪姫の頭上に女性のヒールを履いた脚の形を模した巨大な氷が雨のように降り注ぐ。二人はそれらを回避しながらルリムへ近づこうとした。しかし、ルリムはそれを阻止するかのように大きく振りかぶり、掌から氷塊を放った。豪球の如し氷塊が凪姫に激突するかに思えた刹那、彼女の前に一人の黒武人がそれを斧で粉砕した。
核露だ。
「核露くん、ジェミニの力を使えるようになったんだね!私がチェスにいた頃は器官を移植させてジェミニになった人が多いんだけど…。でも、ジェミニは黒武人と同じで、感情が今まで以上に激しくなると生まれるんだよね!何かあったの?核露くん。」
「…。」
「今は…話せそうにないかな?」
「悪いな凪姫…。また後で話す…。今は…目の前にいる敵を倒す為に…お前の力を貸して欲しい…。」
「っ!!?」
0
閲覧数: 68
文字数: 5907
カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2024/2/19 10:34
最終編集日時: 2024/4/25 9:35
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
大福五木
神話、空想上の生き物、フクロウに興味を持つ高校生です。Twitterでは「オーク」という名前です。