神様の花嫁1
少しずつ涼しくなってきた今日この頃。きれいな月を見ることもなく、アスファルトの地面とにらめっこしながら足早に帰る。
相澤、と書かれた表札。いつの間にか、目の前に家が立ち塞がっていた。
「…ただいまー。」
形だけの挨拶をした。もちろん、答えてくれる人はいない。
ワハハ、とテレビの音が聞こえる。私は息を殺して、ゆっくりと扉を開けた。
誰とも目が合わない。父も母も会話に夢中でこちらに気がつかない。
「あら、帰ってたの、明美。」
母がようやく気がついた。ただいまくらい言いなさいよ、と刺々しい言葉を投げつけてくる。
「面接、どうだったの?」
大学4年生になってからというもの、面接がある日は必ずそう聞いてくるようになった。
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カテゴリー: ホラー
投稿日時: 2024/8/13 3:57
最終編集日時: 2024/8/14 4:56
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
かづき
気ままに書いていきます!