恋愛ごっこ・下

酒は彼女に教えてもらった。 「同じの飲みたいの。これならあまり強くないから。」 「じゃあ、飲んでみようかな。」 「ほんと!?やった!薄めに作るからね!」 あんなに嫌いだったそれを僕の体は拒絶しなかった。 彼女のことを「推し」と称するようになったのはその頃からだ。他のキャストの方からも彼女の固定の客であると認知されるようになった。 恋愛感情なのだと言われればそうかもしれない。けれども、僕としては彼女を「好きな人」と呼称するのはやや違和感があった。 自分に固定の客がいると信じられない。彼女はそう語った。それを聞いた瞬間、同席していた店長と口を揃えて言ってしまった。 「目の前にいるのに!?」
リョウ
リョウ
文才なんてものはありません。でも書きたいんです