真っ白な部屋に

『被験体E-0079について 2018年4月2日1:13 a.m.  現在、特殊ガラス製ゴーグルと13種の精神安定剤の投与によって被験者の状態は比較的安定しており、引き続き同様の管理が推奨されています。しかし留意すべきは、とある新人職員についてです。彼は被験体との接触によりある種の親近感を感じており、組織に背き被験体に味方する可能性があると検査担当者は漏らしています。彼がこれから先異常な行動を取るようであれば記憶処理の上転勤、または殺処分する必要があります』    真っ白な部屋の中で、1人の少年がうずくまっていた。一つに結んだ金髪に、ぶかぶかな白衣、異常に度の濃いスキーゴーグルをつけている。歳は7歳くらいだろうか。出生や過去などは自分でも思い出せない。彼の記憶は、断片的だった。  覚えている最初の記憶は、ただ真っ白な世界の中でだった。周りを見渡しても、そこにはただ白が広がっているだけだった。しばらく経って、ある人物が近づいてきた。聞いたこともない組織の研究員。研究員という言葉に何故だか親近感を感じた少年は、研究員に興味を持つ。だがそんな彼も、目を合わせようとすると一瞬で白の背景に戻ってしまった。やがて組織が本格的に動き、少年は無抵抗のまま機動部隊に背後から拘束される。前が見えなくなるほど度の濃いゴーグルをつけられ、拘束されたままで、少年の両目には見たものをこの世界から“消去“してしまう超常能力が備わっていると言い、その能力で両親をも消してしまったと伝えられた。視界が揺らぎ、椅子が倒れる。両親。聞いたことのある響き。それでも、それが何を意味するのかはまだ分からなかった。  何もかも真っ白な日常に転機が訪れたのは、とある新人職員が研修に来てからだった。エドワードと呼ばれた職員は、線の細い体に弱々しそうな顔つきをしていた。いや、実際のところはわからない。ゴーグルのせいで、数十cm先もよく見えないからだ。それでも、彼には何故だか近づきたくなるものがあった。まるで、前から知っていたかのような。言葉は交わさなくても、2人の心は確かに通じ合っていた。  ある夜、エドワードは少年の耳元でこう囁いた。
除草機1号
除草機1号
基本超短編を書きます。ストーリーは何となく決めます。新参者ですがどうかよろしくお願いします。