ムスカリ ―さよなら、運命―

ムスカリ ―さよなら、運命―
僕には年が二つ離れた妹がいた。名前は琴音。互いに呼び捨てで呼び合うほどには仲のいい兄妹だった。 勉強は少し苦手だけど、スポーツ万能で努力家。学年のトップを争うほどの整った顔立ちで、当然のように異性からも同性からも好かれていた。 そんな僕にとって自慢の妹は、もうどこにもいない。 三月二十七日、家の庭のムスカリの花の上で琴音は死んでいた。ずっと憧れていた高校生になる直前に。 この日受けた衝撃はこれだけでは終われなかった。 どうしてなのかは分からない。 僕は妹の死と同時に、予知能力を手に入れたのだ。  ◇
きのこ
きのこ
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