忘却者 第1幕(更新中)

一歩、また一歩と鉛のように重くなった足で路地裏を進んでいく。 「クソったれが」 進む度に自らの血か汗かも分からない液体が頬をつたってゆく。口の中が鉄の味で支配される。わかっている、このまま人気のない道を進んでもそこに意味は存在しないと。どれだけ進んでもこの出血量では今更助からないと。わかっているのに、人は不思議と期待をしてしまう。このまま優しい人が来て私を助けてくれるんじゃないか、と。そんなことはありえないのに。 「私は―」 そこで、私の世界は暗転した。 第1幕 平和。そんな世界で生活をしていると、色々と感覚っつうのは狂っちまうもんだ。この世界は平和だ。普通に飯は食えて、俺らは学校に通える。誰かに殺される心配も殆どない。そんな世界で、俺は高校生として日々を過ごしている。 朝、登校のために電車に乗るといつも通りの席で爆睡をかましてるそいつに俺はいつも通り声をかける。
鷹波
鷹波
🔰です