容れ物の形

容れ物の形
 ここはある戦場。我々の軍隊は敵国の兵士を殺し、我々も殺される。  同じ釜の飯を食った戦友たちが無意味に死んでいく。昨日は二十三人死んだ。そんなに死んだということを、昨日の戦いが終わってから知った。当然、昨日を生き残った者たちは仲間の死を受け入れる暇もなく、今日、いま戦わねばならない。失われた仲間の数を数え終えるのは全てが決着してからだ。  もっとも、自分が数えられる側になるかもしれないのだが。  斎藤茂吉二等兵は塹壕に身をかがめ、敵国の爆撃に次ぐ爆撃の間を見極めながら敵兵の虚を見逃さず撃ち殺す。  一人殺した。敵国からの爆撃、爆撃。閑。今だ、三八式歩兵銃が火を吹く。敵一人に命中。これで二人殺した。  その直後、手榴弾の爆発音。斎藤の軍服に生温かい液体がかかる。隣の塹壕に隠れていた山本三太二等兵の胴体が弾け飛んでいる。  血溜まり。いや、血で描かれた土。  斎藤は一瞬だけそこに気を取られた。次の一瞬でハッとし、ここはもう敵国の爆撃の射程内であると理解する。  斎藤は転がっている戦友たちを盾に、傘に、拠点へと退いた。
洞田浮遊
洞田浮遊
小説家になりたいです。