鍵〜黒山side〜
─いつも通り、遅すぎず早過ぎない時間に学校に向かい、いつも通り駐輪場に自転車を停めて、いつも通り教室に向かっている時の出来事だった。
そこには、クラスの女子生徒、白川さんが教室の前に立っていた。
「...あれ?白川さん、何してんの?」
俺がそう呼びかけると、白川さんは少し体をビクッとさせてこちらを見た。
「...あー、えっと、教室の鍵が、開かなくて...」
白川さんは人と目を合わせるのが苦手なのか、俺はずっと白川さんの顔を見ているのに視線はドアに刺さった鍵に向けられていた。本人はどう思っているのか分からないけど、そんな所も可愛い、なんてちょっとだけ思ってしまった。
「え、まじ?そんな硬いの?...あー、たまにあるよな、自転車とかの鍵が全然開かない日」
俺は中学からいつも自転車通学なのであるあるなのだが、電車通学の白川さんはそれがよく分からなかったらしく、一瞬だけぽかんとした後にそうなんだよねー、というあまり思ってなさそうな返事が返ってきた。俺会話下手かよ!!と心の中で嘆いた。
「先生呼ぶかー...って、白川さん、手真っ赤じゃん、大丈夫?」
ふと彼女の手のひらを見ると真っ赤になっていることに気付いて、無意識に手を握ってしまった。離すべきか迷ったけど、今手を離すのも不自然と思い、できるだけ優しく握り返すことしか出来なかった。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/6/16 23:01
Lily
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年齢▶︎15⤴︎
書いてるもの▶︎恋愛系一次創作中心
好きなもの▶︎アニメ、漫画、ゲーム など
X▶︎Lily/初心者物書き
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