いつもの

夕焼けの日が差す美術室内に頭が曇るような油の匂いと布と筆が擦れるかわいた音が満ちる 俺はそこに何時間もいることを自覚すると気が狂いそうになるが窓の外から聞こえる他の部活の生徒の声を聞くと青春を感じ少し気が軽くなる 「そろそろ帰る時間だよ」 先生のその一言で皆が一斉に時計を見ていそいそと油絵の片付けを始める 俺もそろそろ帰るか、と自分の絵を写真に撮ってから片付けをする こうしていつも写真に取り記録している 筆に染み込んだ油絵具を新聞で拭き取り筆洗油で洗う 溶けていく絵の具をぼんやりと眺めながら手だけを動かす 俺が片付けている間に美術部員はぽつぽつと騒がしくなることなく帰っていく
柚子風呂。
柚子風呂。
ふと感じたことから物語ってます