星の象
星の象と出会った。
象は、いつも荷物を背に夜の間を旅しているのだと語った。
だから、いつしか星の象と呼ばれるようになったのだと。
それから、象はボクにキリマンジャロの山頂で見た溢れそうな星空の風景や、ジャングルの奥の湖で、湖面に映る天の川から水を飲んだ時の話を聞かせてくれた。
「うらやましいな」
ボクは思わず呟いた。
抱えた膝の間に、涙が一つ流れ星の様に落ちる。
けれども、象は「そうでもない」と大きな耳を左右に揺らし、ついさっきボクが飛び出してきたばかりの街を、その長い鼻先で示して言ったんだ。
「ごらん。あのたくさんの灯りを。なんて美しいんだろう。まるで、たくさんの星が集まっているようじゃないか。あの美しさを知っているならば、この中で美しく生きられない人なんて、いないだろうと私には思えるよ」
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2023/5/21 17:57
最終編集日時: 2023/5/21 18:01
泥からす
短くて、変な小説を書きます。ノンジャンルです。