夜を超えて
ビルの隙間から吹き抜けていく風が髪をなびかせる。深夜2時。
「ねぇ、ほんとに良かったの?」
『何が?』
「こんな夜遅くに呼び出しちゃって、」
『夜遅くに外出ちゃ行けないような年齢でもないでしょ、俺ら』
そう言いながらバイクのミラー越しに私を見る。
「そうだけど、」
たまに、たまに眠れない夜が来る。そんな時は大抵、具体的でない、抽象的な、形を持たない“なにか”が私を襲う。“なにか”が怖くて、眠れなくて、私は夜から逃げたかった。
『俺に連絡くれたんでしょ?』
そんな夜から救い出してくれた感謝も伝えられず、ただ彼の腰周りの服をぎゅっと握る。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2024/1/13 14:37
いくら
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