さいごから二番目の科学者へ
この手紙はあなたに届くでしょうか。私には分かりませんが、お書きします。届くことを願えたらよかったのですがね。
あなたが生きているより、ずっと先の未来のことです。人類は滅びました。それから長い年月が過ぎています。街はあなたが想像するよりおおよそ綺麗に保たれています。しかし、それもあと一万年もすれば変わるでしょう。ロボットたちは徐々に減っていますから。あなたの計算通りのスピードです。街は緑に包まれ始めています。いくつかの清掃ロボットは壊れました。
では、彼について記します。彼は、あなたの死後から一九五六年と三ヶ月と二十二日過ぎ去って目覚めました。その一日前に最後の人類が死にました。彼が理解していることは少なかった。プログラムに劣化が生じていました。私は彼に役割をお伝えしました。
彼は役割をこなし始めました。順調にロボットを直していました。対人用コミュニケーションロボットの大半はやはりスピーカーが壊れていましたが、どうやら電波で彼と会話ができるようでしたので、当初の予定とは異なりスピーカーを直さずにいました。私は電波をうまく言語に変換できませんでした。
彼は楽しそうに働きました。会話ができるものにもできないものにも等しく話しかけていました。私は作業効率の低下を指摘しましたが、彼は笑って聞き入れませんでした。彼は私とも話をしたがりました。
彼が目覚めてから十七年と五ヶ月と五日たった日です。その日彼はいつものように、他のロボットと会話をしながらメンテナンスをしていました。すると、突然彼は動きを止めました。いつも笑顔を浮かべているその顔に表情はありませんでした。私は彼が故障したと考え、メンテナンスに入ろうとしました。彼は私を止め、なんでと呟きました。私のマイクは性能が良いのですね。彼は誰かに聞いているわけではありませんでした。
それから彼は時々考え込むそぶりをするようになりました。そしてついにある日、私に問いました。彼が存在する意味を。私は他のロボットをメンテナンスし、ヒトがいた街を保つことだと答えました。彼が目覚めた日に説明したことです。彼はそうだねとだけ言って黙り込みました。
その次の日、いつもの場所に彼の姿がありませんでした。位置情報は街のスクラップヒープを指していました。私が行くと、彼は自分の記憶メモリを抜いて動かなくなっていました。私は彼の記憶を見ました。機械の私にはなぜ彼がこのような行動を取ったのか分からないからです。結局分かりませんでした。この手紙に彼の記憶メモリを同封します。
この手紙を過去へ送ったら私は役割を終えます。彼専用のメンテナンスロボットである私は、彼がいないと意味がないですから。それではお元気で。
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2025/3/23 10:01
ひるがお
見つけてくれてありがとうございます。