海へ
崖から足を踏み外すと、水面で僕の身体が砕ける音が響き渡った。
小さな気泡が視界を遮り、水面の美しい模様がぼやけていく。
やがて意識は暗闇にのまれていった。
再び目を開けた時、僕は異なる景色を目の当たりにした。
肉体の裂け目から、血液が流れ、赤い雲となって水中を漂っている。
醜い色を見て、僕の実感が蘇った。
ああ、僕は死んだのだ。
壊れた肉体、肉体なき精神。
海底に横たわった一体の人生。
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カテゴリー: 詩・短歌
投稿日時: 2023/8/29 9:17
Yameta