ただ泡になりたい。

ただ泡になりたい。
 君が言った。 7月の終わり頃、陽の傾いた放課後のこと。 校舎ごとの管理をしているエアコンは少し前に切られて、外の暑さが涼しい室内にじわじわと染み込む。 「俺さ、死にたいんだよね」 にこやかな顔で何気なく君は言う。 ただの他愛のない話のように。 「…え」 なんで、と問いたかった脳と、言葉を上手く絞り出せなかった口が喧嘩をする。 生まれてからずっと一緒にいる僕の脳味噌は、これまでの連携を無くしたように働かなくなった。 買ったばかりの自由帳のような脳味噌を恨む。
赤木
赤木
学生 初めまして。拙い文章ですが気に入って下さるととても嬉しいです。BL作品、ほの暗い作品多いと思います。思いつきで投稿することも多いです。