一回目
「すきです」
「ありがとう」
このやり取りで、もう数えること記念すべき100回目。 彼に好意を伝えるのもこれで、100回目。悲しそうに申し訳なさでいっぱいの表情を精一杯我慢して微笑む彼を見て心臓が締め付けられるように痛い。それとは正反対に、好きという気持ちは限界という言葉を知らずにドンドンと湧き上がってくる。だけど、これは自分が犯してしまった過ちが帰ってきているのだ。どんなに謝ったとしても、彼は辛そうな表情を辞めないのだから。
事件が起きたのは、今から約三日前の出来事だった。それまではいつも通りだった。カフェで二人で座って珈琲とスフレチーズケーキを堪能しながら、来週末まで近づいた記念日旅行についての話をしていところだった。
「此処はどう?」
「ちょっと在り来りすぎない?」
「じゃあ、ここは」
「うーん・・・」
彼から曖昧な言葉が聞こえてくる。いつも、提案をしているのは私で最終決定権は彼にある。ふぅと溜息を一つ吐いてまた候補を探す。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2023/12/13 6:15
田中
心に残る小説を。