五話目 新妻気取り世話焼き概念の話をしよう

 私はユゥくんに仕事の報告を任せて、自分達が拠点にしている宿屋に向かう。  って言っても、この組合の2階に上がるだけなんだけどね。    階段を登ると、長い廊下が伸びていて、幾つもの扉が連なっている。そのうちの一つ、私とユゥくんの名前が書かれた扉の鍵穴に、持っていた鍵を差し込んで捻る。  これで鍵は開いた筈なんだけど、なんかいつもより音が軽い。鍵を捻ったが、扉の錠が開いた感覚はない。これではまるで、最初から鍵が開いていたみたいだ。    少しの警戒をしながら、扉を静かに開ける。ただいま〜、とは言わなかったし、もちろん「おかえり」も返ってこない。忍び足で部屋に入り、キョロキョロと周りを確認しながら玄関をぬける。  やはり、というか案の定というか……、キッチンの方から包丁がまな板を叩くリズミカルな音が聞こえる。  誰かが居る——いや、十中八九|あ《﹅》|の《﹅》|女《﹅》が居る。  
ま、良い
ま、良い