ちっぽけな勇気
とある小さな教室から始まり、そして人魚劇場という演目にエントリーしている柏原柚月。レッスンに明け暮れる日々。精神的に追い込まれるプレッシャーとの戦いは自分との戦い、そうわかってた。主役をやりたい気持ちは人一倍ある!普段のレッスンの他にも合同レッスンが正直言ってきつい。人間関係も含めて女性ばかりだと何かしら問題が出てくる。1人だけ女の子たちから離れて、レッスンする男の子が居た。合同レッスンでなぜか目で追ってしまう自分に嫌気が差す。自己嫌悪、自意識過剰、自己肯定感低め安定。それがおばあちゃんのレッスンでは息を吹き返したように自由に踊ることができる!おばあちゃんは昔から私のクラシックバレエの先生。私が続けている理由がある。それはおばあちゃんの長生きに貢献すること。だから苦手だけど、合同レッスンを増やした。内容はついていけるレベルだけど、もう1人主役の座を狙ってる佐野杏菜ちゃんは自信のある度胸のあるピンクの似合うバレリーナ。私はジゼルのように1人でもの悲しく踊る方が私には合ってる水色の衣装で今まで踊ってきた。主役といえば幼稚園の頃に出演した赤ずきんちゃんだけ。私にはバレエのブランクが大きくある。受験のたびに3度は辞めている。理由は単純だけど、勉強が忙しくなり、成績が下がったから。おばあちゃんのレッスンだけ続けてきた。そう、プライベートレッスンを無意識に受けていたようだ。クラシックバレエの先生であるおばあちゃんには感謝しています。ただ、私があまのじゃくで素直になれないだけ。私が変われば済む話なのだろうか?
ストレッチ&柔軟をしているときに、ふいに合同レッスンの前に名前も知らない男の子が一言話しかけてきた。
「その体操後で教えて」
たった一言だけで声に出して話しかけてくれたことが嬉しかった。いつも合同レッスンでは1人だけだったから。
そのちっぽけな勇気が私にも勇気をくれた!今日の合同レッスンは頑張れそう。
帰り道同じバス停なので、少し会話をする。
灰色の空の下でベンチに座って話に花がぽつりぽつりと咲いた。
彼はストレッチや柔軟をほぼしてない状態で合同レッスンに挑んでいたようだ。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2024/5/26 20:33
青野アオ
普段はタロット占い師をしています。ここでは純粋に小説を書きたくて登録しました。気ままに自由にマイペースに小説を書き綴る予定です。恋愛小説やファンタジー小説を書く予定です。よろしくお願いいたします!