鉄蜘蛛の城 第四十二話 “Love and Madness”
一方、凪姫(なひめ)はチェスの構成員たちと交戦中だった。彼女は並みの構成員たちなら軽々と倒していくが、その中に一人、芋虫のような姿をした黒武人(くろぶじん)の構成員に手を焼いていた。凪姫の蹴りはその気になれば人間の頭を吹き飛ばすほどの威力だ。そんな強烈な蹴りを受けても、他の構成員とは違い、その黒武人だけは蹴りを受けてもびくともせず、気色が悪いほどギザギザな歯を見せて笑う。
「裏切り者の凪姫。貴様の蹴りは強烈だ。残念だが、この“ポリプ”には貴様の蹴りなどで傷は付かない。」
「チィ!」
凪姫はジェミニの力で生成した鎌で切り刻もうとするが、ポリプは魚が泳ぐような動きを見せて回避する。ポリプは尾を振り回し、凪姫に数発攻撃を繰り出し、最後にギザギザした歯を使い噛みつこうとした。それは凪姫の鎌によって防がれた。
「このまま真っ二つに…!」
「無駄だ。」
ポリプは滑らかに彼女の背後へと回るが、凪姫は見逃さずに回し蹴りを繰り出したが、当然命中しなかった。
「オフオフオフオフぅ!!このポリプには貴様の攻撃など当たらぬわ!!」
奇妙な笑い声を発しながらポリプは這い寄ってくる。
「私に触れていいのは、核露(かくろ)くんだけ。」
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2023/12/21 9:56
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
大福五木
神話、空想上の生き物、フクロウに興味を持つ高校生です。Twitterでは「オーク」という名前です。