【第2回NSS】究極の発明品

【第2回NSS】究極の発明品
 今の時刻は9時。学校が始まるのは11時前。  この持て余した時間を有意義なものにするべく、私はドーナツ屋に入った。 「ポン・デ・リースチョコを1つ」  私は席に着くと、これから訪れるひと時の幸福に胸を踊らせた。  練り上げられた玄人によって作られたレシピ。これを元に作られたドーナツは味が完璧なのだ。薄すぎないのは大前提として甘すぎないのも重要だ。このバランスこそがプロの所業。  楽しみが頂点に達した頃、ドーナツが運ばれてきた。  上部を包み込むように覆い被さったチョコレート、その上に振り掛けられた虹色のチップ。甘いものの寄せ集めではなく計算され尽くした甘さの調節は、一つ一つの材料を天秤に乗せてるかと思わせるほどの正確な配合の上にある。  早まる気持ちを抑えながら、体温でチョコを溶かさないようにドーナツを手に取る。  口に入らないようにナプキンの位置を調節しつつ、人類の化学の結晶とも言える究極の発明品を口に運ぶ。
黒鼠シラ
黒鼠シラ
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