第二話 邂逅

「稲荷様」が居たという事実に脳が追いつかなく、俺はただ呆然と立ち尽くしていた。 すると少女はこちらに気づいたようで、大きな目をさらに大きく見開いてこちらから距離をとるように素早く立ち上がった。 「だっだれ!?」 少女は叫ぶ。 確実にあっちは俺に敵意を持っているというのに、俺は何を思ったか、少女の元へと足を動かす。 鉛のように重く、接着剤が付着したかのように地面から動かなかった足も、その時は恐ろしいほど軽快であった。 少女は俺が目の前まで来ると、死を悟ったかのよう目をギュッと瞑った。
速水実弥
速水実弥
「狐少女と花少年」を連載しています。 お絵描きもしてます。