プロローグ*後編*『なんてことない?』
扉を激しく開け、怒鳴るように「逃げろ」と声をかけてきたのは、見覚えのある源〈みなもと〉先輩だった。
源先輩の声かけにより、クラスメイトが事の重大さを理解したのか一気にパニックを起こし、教室を走り去っていく。慌てているのは当たり前で、鞄を持たずに外へ向かうのがほとんどだけど、後から鞄を持っていく生徒もいた。
その様子を見ていると、真紀が手を繋ぎ、神妙な顔つきでぼそっと話しかけてくる。
「遥。これ、多分ドッキリじゃないと思う……。う、ウチらも逃げよう!」
「……そ、そうだね。とりあえず……逃げよう」
まだ現実を受け入れたくない思いから「とりあえず」なんて曖昧な言葉を無意識に口にしていた。外に行けば、しばらくするとどこからか『ドッキリでした〜!』と誰かがやってくるだろう。かなり悪質なドッキリだし、腹が立つので絶対にクレームを入れてやると思いながら廊下に出た。
私と違って真紀はあの化け物が本物だと信じているのか、自分の鞄と私の鞄を持ち、廊下を走っている途中で私の鞄を渡してくる。
たまに目に入る凄惨な光景や血の匂いさえ、よくできているなと思わず感心してしまうほどにリアル。中には血生臭さかグロテスクな物を見たせいか吐いている人がいれば、箒を使って化け物を叩く人もいた。もう充分でしょ、この酷いドッキリを早く中止してほしいと苛立つ。そんな思いを抱き、ようやく玄関前に着いた。急いでローファーを履いたり、シューズのまま外に出るたくさんの生徒や教師数名がいる。
「うわっ! ちょ、これヤバくない?」
真紀が引き攣った顔で私を見つめた。
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カテゴリー: ホラー
投稿日時: 2025/3/31 7:25
最終編集日時: 2025/4/4 8:56
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
アヤっちゅ
思いついたら書く精神なので、頻繁に投稿するわけではありません。人間より動物や虫が主役のストーリーが好きなので、そういったものを書こうと思います。
令和7年4月5日:追記「なんだか人間がメインの小説も書きたくなったので、人間と動物がテーマの小説を書いていきます」