〜雪解け〜

〜雪解け〜
−俺は恋愛運が良くない。というのも、俺には今まで彼女がいたことが2回あるのだが、そのどちらも性格に難ありなタイプで、どちらも同じやつに取られた、という経験があるのだ。そういうわけで高校では恋愛はしたくない、と思っていた。 −そして今日は高校の入学式。家からそんなに遠くない場所にある私立高校に通うことになった俺は、緊張と好奇心が混ざったような気持ちを抱きながら新しい制服に着替えていた。 −数時間後、俺は入学式を終えて、クラス表に書かれていたクラスの教室へと向かった。教室に向かっていると、俺のクラスのところにやたらと人が集まっていることに気づき、何事だ?と思って小走りで教室に入ると、一際周りから視線を集めている1人の生徒がいた。 サラサラでツヤがある白い髪、ぱっちりとしていて曇りがないピンク色の瞳、血色が良い肌、少し華奢な体格に合わないダボダボのカーディガンを着ているその生徒、それは俺がよく知っている人間、冬見玲奈だった。 冬見玲奈というのは俺と同じ中学出身で、2年と3年のクラスが同じだった女子で、かなり整った顔立ちをしてると、思う。それに、俺の元カノとは違って性格について悪い噂は一切聞いたことがない。 だがそんな冬見も完璧ではない。というのも、冬見は人とコミュニケーションを取るのが苦手らしく、クラスメイトとも全然話そうとせず、話したとしても全然目を合わせないらしい。 それが原因なのかは分からないが、冬見は中学の時一部の女子からいじめを受けていた、というのを友人から聞いた事がある。その一部の女子というのが、俺の元カノだったということも、その友人から聞いた。 俺は正直それを知ってから冬見をどういう気持ちで見たらいいのか、接したらいいのか分からなかった。だから、今同じクラスになったという現実を目にして本当にパニックになっている。 本人に気づかれないように恐る恐る教室に入り、静かに席に着いた。…まあ、俺の苗字は”春谷”で相手は”冬見”、席は前後になった。 さすがに前後になってしまったら気づかれるに決まっている。だからせめて関わりを少なくできるように、俺はわざと冬見の方を見ようとはしなかった。だが冬見は全く気にしていないのか、学校が終わって放課後となったタイミングで、俺の肩をツンツンとつついてきた。
Lily
Lily
名前▶︎Lily 年齢▶︎15⤴︎ 書いてるもの▶︎恋愛系一次創作中心 好きなもの▶︎アニメ、漫画、ゲーム など X▶︎Lily/初心者物書き ※アイコンはフリーのものを使わせて貰っています ※不定期で投稿しますができるだけ続けられるように頑張ります!