夏の終わりの螺旋都市

夏の終わりの螺旋都市
 麗しい少年が亡くなりました。     噂では海で死んだとか。遭難したとも、入水自殺したとも伝えられる彼は、隣のクラスのマモルくんでした。  音楽と本を愛する、静かな印象の男の子が彼。小学校から憧れの人だったから、マモルくんがいなくなった海に夏休み、一人で出かけたのでした。  寒い夏だったから電車も空いていて気持ちのよい風が車窓から流れ、わたしの髪を乱します。孤独でも、寒くても、ゆたかに稔る夏のはじまりでした。 ■  靴を手にし、裸足で波打ち際を歩きます。水平線上には冷夏だというのに入道雲がわきあがり、いかにも八月らしさを奏でている。でも、やっぱり寂しい海。
ミュウ
幻想的で美しいもの、儚い夢のようなもの、幽霊みたいに漠然としたものが好きです。