主上、星と暦に計るる事

 いと高く畏く、祖は天に連なり、末まで地をしろしめしますること確かな、尊上の主、並び立つ者なき天子、主上の事績より、以下、書き記す。  大川の外岸、赤鳥山の囲い、荊福城の領内にて、乱起こる。男、周囲を騒擾し、人心を欺導し、天子の威光揺らがせんとして、都に攻め寄せる気を見せたり。  上、星読みを寄せさせ給う。星読みの官長、星を語るに、 「畏れ多くも、天上の体現にして、神聖の具現たる主上に愚口、言上するに、星運び、変あることを示してございます。  ここに見ます通り、日の道に干赤録が現れております。全知たる方に説くは恐縮なれど申し上げれば、これは惑星と呼ぶ鏡でございます。自ら輝かず、他の輝きを映す故、これらのある時は、地上にあることを写すものと申します。  干赤録の反映は、枯渇、血河、没交渉とあります。これらが史上、如何に表れたかは、記録にあたるべきかと存じます」  上、頷きて、これを下がらせ、史吏を上らせ給う。  書庫長、召し出されて申すに、 「尊上の問いに、臣、恐懼してお答え申し上げれば、この星巡りの暦を史に照らしますと、必ず兵乱がございます。  暦より、二百歳に七度あることでございますが、いずれにも乱あり、また前後に飢饉あるものと見えます。一例挙げますれば、前の朝、天命を失いました時も、この星、天に座する歳にございました。
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