荒廃したこの世界は今日も美しい・6
《ハネネズミの巣付近:ダロン視点》
砂漠にぽっかりと陥没した場所を見つけたら、それはハネネズミの巣である可能性が高い。奴らの歯は砂地を掘削しやすい形に進化しており、それを駆使して地面に穴を掘るのだ。
ダロンもまさに今、そんな巣の際々に立って眼下の様子をじっくり観察している。穴の斜面を滑った先には小さな窪みがあり、その更に地下には何十匹ものハネネズミが生息している筈だ。
広大なその地下空間に、背後から追ってきているデバグロイドを落っことす。というのが今回の作戦だ。
だが、今や彼の目線の先にあるのは野ネズミの穴倉などではない。厚い砂の壁からほんの僅かにその姿を見せる、黒の鉄片だ。
「…なんだ、あれ。」
初めはデバグロイドの死骸かとも思ったが、砂肌から隆起した黒鉄色の機体に違和感を覚える。
「あんな黒い表面、見た事無えぞ」
奴ら機械生命体には性能的な個体差はあれど、機体の色は基本白か銀だ。しかしあれは…漆に漬けたように純黒である。
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カテゴリー: SF
投稿日時: 2025/9/24 22:42
最終編集日時: 2025/9/25 4:38
クリオネ
来年度まで活動休止中〜♪
リハビリ感覚でたまに短編を投稿するかもです。
※注釈※
時折り過去話に手を加える事があります
(大きく変えた場合は報告します)
定期的なご確認をお願いします。
novelee様の不具合か、
長い文章の一部が
途切れている場合があります。