妖精

森の奥で、僕は小さな光に出会った。 七歳の夏、蝉の声が遠くで溶けていく午後。 光の粒のような髪。 透き通る声。 彼女の笑顔は、陽だまりそのものだった。 「泣かないで」 ひんやりとした指先が、僕の頬に触れた。 耳には雫の形の小さな石の耳飾り。 「これは、風の音を閉じこめたの」
寸志
寸志
はじめまして 恋愛小説を書くことが多いです。