わたしのR
『ピシナム』に勤めているなかで、半年を過ぎても忘れられないことは、溢れかえるほどあり、そしてそのほとんどは『彼女』のことだった。
『彼女』は僕のことなど覚えているはずもないのに、それでも一向にかまわなかった。あるいは、それが愛情なのではないかとすら思った。
僕は『彼女』に名前を訊かなかったし、『彼女』も名前を告げなかった。
だから勝手に『彼女』のことを『R』と呼んでいた。そういう感じの名前をしてそうだったから。
僕が初めてRを目にしたのは、『ピシナム』に勤め始めてまだ一カ月目くらいのころだ。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2021/9/11 3:03
久々原仁介
ただ、僕を見てくれ。
この弱い、僕を