#10
扉を潜るとひんやりとした冷気がアルトを包んだ。地下室への道は長く、灯りもないので真っ暗である。
その先に人がいるとは思えないほど静かで、その静寂にアルトは少し縮こまった。足を踏み出しても音が壁に吸い込まれて音が立たない。今だけはそれが幸いだった。
満身創痍の身体を引きずって肩で息をしながら進んでいくと明かりがちらちらと見え始めた。
扉の隙間から漏れる灯りのようだ。また少し歩くスピードをはやめる。
そのまま扉の前に着くと手をかけて引く。軋む音を残して扉は外側に開いた。
「あ…。あぁ………。」
アルトの目の前に広がっていたのは血の海だった。目を上げ血の流れの源を辿る。源はソラとレインの腹だった。ソラとレインに向き合って立っているのはアキナを殺したあの兵士で、血に塗れた剣を手に、獰猛な光を目に宿していた。
周りに目を向けると、脚が斬られすでに意識のないツルキが目に入った。
「…あ………。」
アキナから託されたというのに
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2024/7/18 2:47
最終編集日時: 2024/7/18 3:54
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
Zeruel
趣味の範囲で書きます。
また、才能があるわけではないので、馬鹿にされると言い返せなくて泣きます。
不定期投稿