神談(2)

神談(2)
木々の隙間を風が縫って行く。 葉がぶつかり合う音が、心地よい。 「おやおや、こんなとこにいたのかい?」 狐の面をつけ、見慣れぬ獣耳と尻尾をひょこひょことさせながら、近寄ってくる。 「んん、ここでお昼寝をしていたのですよ」 お日様が照らしてうたた寝をしてしまいました、と笑う女は狐の面をつけた男に向けて手を伸ばす。 狐の面を頭の方へずらすと、男の顔が見えてくる。 「お狐様は、何をしていたのですか?」 男の頬に両手をあて、微笑む女に向かって男はじっと目を見つめながら言った。 「村人たちを見ておった。ただ、腹が減ったからユキを探しておったんじゃ」
志筑 天空
志筑 天空