サンタの秘密

サンタの秘密
降り積もる粉雪の中、私はとぼとぼと廊下を歩く。子供の頃サンタのプレゼント配りに憧れて2年前サンタ業界の採用試験を受けた。受かったのはいいものの家族と離れてフィンランドの会社の寮に住むことになったのが苦痛である。何故なら外に出るだけで手が震えるほど寒い。でも空飛ぶトナカイのソリに乗ることは毎年の楽しみだ。 左手には今年の届け先リストとトナカイの貸し出し券。これを持って社長、つまりサンタさんに渡さなければならない。社長の部屋に向かってるとむこうから事務の人が見えた。 「あら、326明日出発?」 「こんばんは、先輩」 私たちには名前がない。数多くのサンタ見習いがいるためいちいちフルネームを覚えるのは面倒でみんな番号で読んでいる。 「はい、日本の東北担当で明日トナカイで行くつもりです」 「残念ね、明日は事務のみんなでお茶会を開こうと思ったのよ。ほら事務ってプレゼント配らないしみんなのGPSを見て届け先に案内したり子供達の願いをパソコンに打ち込むだけじゃない」 「えっと、お茶会帰ってきたら行ってもいいですか」 「もちろんよ!326の分のお菓子取っとくわ」 私はぺこりとお辞儀をして先輩と別れた。
ゆるる
ゆるる
本好きのゆるるです。 恋愛系 切ない系の物語を作りますゆるるの作品が貴方の心に灯ってくれると嬉しいです🌷✨ 🫧〜詩〜🫧 花の香りにふと撫でられ私はぽつりと風になる 優しさと美しさが光となって貴方に吹きますように。私の吹く文字という風が貴方の心の紙を奏でることを静かに願います 今日も私は物語を描いていく