#3

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夏から秋が過ぎ、冬が来た。私は凍えながら、あの屋上に続く階段へ、毎日通っていた。 「明日から冬休みだね。」 口から白い息を吐く先輩の横顔、冷えで赤くなっている指先。私は先輩の虜になっていた。 「はい、もうすっかり寒いですね。」 小さく頷いて、先輩から目を逸らした。少しだけ、ほんの少しだけ先輩に近寄ってみた。先輩は私の肩を抱いて、体を密着させた。 「卒業までもう少し。」 「卒業か…。」 まるで考えていなかった現実を突きつけられ、私は先輩の肩に寄りかかり、前を見据えた。 「離れるのは嫌?」 先輩は意地悪く微笑んで、逸らす私の顔を覗き込んできた。先輩の温かい手が、私の頬を撫でる。脳みそがとろけてしまいそうだ、と思いながら首を縦に振った。
まる
まる
学生です。 思いついたのを文章化しているので、内容は浅いです。 マイペースに投稿するつもりなので、よろしくお願いします!