月影ノ誓 七
第二節:燈ノ記憶
――天保三年、秋。
黒目村には、秋を告げる山霧が静かに降りていた。木々が黄金に染まり、風に乗って落葉が舞う。だが、その美しさの奥に、誰も知らぬ闇が息を潜めていた。
燈(あかり)はその頃、村の中でも「穢れの子」と呼ばれていた。理由は、彼女が生まれたとき、母の腹から洩れ出た黒い痣――鬼気の残滓のような印が、その小さな背に浮かんでいたからだ。
「鬼の子は災いを招く」
0
閲覧数: 17
文字数: 1726
カテゴリー: その他
投稿日時: 2025/7/28 15:30
最終編集日時: 2025/8/4 8:30
まき
noteにて創作過程をUP中
https://note.com/dear_lupine5734