月影ノ誓  七

月影ノ誓  七
第二節:燈ノ記憶 ――天保三年、秋。 黒目村には、秋を告げる山霧が静かに降りていた。木々が黄金に染まり、風に乗って落葉が舞う。だが、その美しさの奥に、誰も知らぬ闇が息を潜めていた。 燈(あかり)はその頃、村の中でも「穢れの子」と呼ばれていた。理由は、彼女が生まれたとき、母の腹から洩れ出た黒い痣――鬼気の残滓のような印が、その小さな背に浮かんでいたからだ。 「鬼の子は災いを招く」
まき
まき
noteにて創作過程をUP中 https://note.com/dear_lupine5734