祭り

祭り
 祭りには若者を中心に沢山の人々が溢れかえっていた。道の脇には若くて時間がうんとある連中が何人かで座り込んでスマホをいじったりお喋りをしていた。こっちを見てニヤついているのが怖くて幼い頃は見て見ぬふりをしていたが、今見たら何とも思わない。  と思ったが、妻と手を繋いで歩いていてもやっぱり地面に転がり込んでる男も女もかつてとはまた違う怖さがあった。  そういう連中は大体お洒落で、気が強くてスポーツしてる一軍で、地面に小さく座り込んでいる癖に話しかけたら番犬の様に噛みついてくるのだ。そして大体夜は当たり前の様に中高生の癖に彼氏彼女とセックスして昼は人付き合いあるいはスポーツが上手なだけでクラスを牛耳ってぶいぶい言わせている動物だ。  あんなのが自分の歳下になるなんて今でも実感が湧かないが、僕は大人しくりんご飴とか焼き鳥とかを食いまくって腹を満たした。  りんご飴も焼き鳥も、ジュースも割高だ。祭りでもなんでも、大体こういう催し物は割高になるか、地域のお婆ちゃんが優しくて赤字覚悟の激安になるかのどちらかだ。年に数回なのでそうなるのは仕方ないし、僕はもうお婆ちゃんに可愛がられる年齢でもないので、当然の様に少ししか入ってないのに三百五十円もするオレンジジュースを飲んだ。
素人作家
素人作家
読みやすくて面白いお話を書きます!