第2話 神の知識
アルカディア魔法学院の入学試験。最初に始まるのは筆記試験だった。それぞれの生徒は特に決まりは無く人数分収まる教室に案内され、順番に席に座らせられる。
教室は段差と斜面の途中に等間隔で長机と椅子が置かれ、前の席ほど低く、後ろの席ほど天井に近い。ちょうど劇場の観客席のように、全員の視線が一つの黒板へ向かう造りになっている。
私の席は丁度中央。教卓から少し見上げた真正面に座らせられる。
席に着けば、教室全体と周囲の入学生に気を張るように、目に魔力を込めて実際に見える前方の上下左右。百八○度の視界に含め、ぼんやりと誰が何処におり、何処を見ているかを可視化する疑似的な視界を周囲三六〇度展開する。
そこで分かったことは、すべての席は隣同士で見えている筈なのに、正面から少し視線をずらせば、目に映るのは磨りガラス越しで見る景色。酷く霞んだ物しか見えない。いわゆるカンニング対策をされていた。
教室の状況が分かった所で、後から担当教師が教卓に立ち、試験を説明を始める。
「これから四十五分。筆記試験を行います。テスト用紙は始まりの合図と同時に各机から出てきます。皆さん静かに受けてくださいね。分かっている方もいると思いますが、カンニングなんてしようにも出来ないようになっています。それでは何か質問はありますか? ……。ないようですね。それでは、始め!」
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2025/10/7 7:41
影白/Leiren Storathijs
実は26歳社会人です。
基本ライトノベル書きます。
異世界ファンタジー専門です。
執筆歴は10年以上です。