ヒトラー前夜
三島由紀夫に「わが友ヒットラー」と言う戯曲がある。若い頃、プロとして上演に関わってことがある。読み込むどころの話ではなく、当時の台本はボロボロで真っ黒。青春の金字塔である。今更引っ張り出してきたのは、2025、参院選、参政党躍進に絡めて思い出したから。新しい社会現象に遭遇して嘗ての読書を思い出し分析の助けにしようと思う。
参政党の勢いがすごいようだ。
少し調べてみると、結党以来、当たり前とも思えるが、結構な人の入れ替わりが伝えられている。小生はあまり詳しくは無いが、有名だったり、大物が名を連ねていたらしい。あとユニークなのは草の根の組織化。
資金が潤沢との観測もある(こう言う場合付き物の背後のカルト教団存在説もある)。
党勢躍進のせいで良くテレビに出て来るようになって、準備不足、慣れて居ないための戸惑い?などはご愛嬌だが、昔作った児戯のような憲法を突っ込まれて、対応に追われているようにも見える。
まぁそんなに直ぐに体制、対応が出来たら却って不自然なくらいの「躍進」だったのだろう。論旨は「無名の民のため」を除くと「右」の傾向。当然左派は「ヒトラー」を持ち出して批判したりもする。この状況で大事なのは「始めはヒトラーも無名だった」と言うこと。
戯曲の話をする。
本作はヒトラー、レーム、シュトラッサー、クルップがそれぞれ(多分)独裁者、右派、左派、資本家を代表して会話でナチス党権力掌握前夜の状況を活写している。
芝居のネタバレはご容赦願って、結論はヒトラーは権力掌握の最終段階で党を支えてきた戦友二人を粛清し、その勢いで金主クルップも支配下に置くことに成功する。幕切れの台詞は「政治は中道で無ければなりません」で幕が下りる。勿論この後はヨーロッパは戦火に包まれるわけだ。勿論戯曲としての面白さはレームとの友情が中心なのだが、参政党騒ぎと共通してるなぁと思う点がある。勿論今の参政党躍進をナチス党に例えるのはナチス党に失礼な例えなのだが(笑)、結党時の熱狂と左派的な福祉、民に対するリップサービス、金主の存在、などなど。コレからの展開としては急成長した政党組織で色々な不手際、失言、怪文書などが出てきて、スキャンダル責任者の放追とかありそうである。新興政党の下部組織で良く見かけるし。
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カテゴリー: お題
投稿日時: 2025/7/22 4:50
ヨーイチ