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この気持ちに名前を付けるなら。

「彼女、できたんだよね」 物心ついた時から一緒にいた。 幼稚園、小学校、中学校までも。 性別が違かった。 そこが1つ壁だったのかもね。 高校が別になった。 会うことも、話すことも極端に減った。 けど別に寂しくなかった。いつでも会えると思ってたから。 彼女の子は、中学の時に同じクラスになったことがあって、メンヘラ気質で人の彼氏を奪うことで有名だった。 素直に喜べなかった。 相手が相手っていうのもあるけれど、その人が別の人と一緒になることが、なんというか、違和感。 そう思っている私には彼氏がいるし。 なんなんだろうね、この気持ち。 別に自分のものじゃないのに、奪われた感じだ。 別れてしまえと思ってしまう私は、性格の悪い都合のいい奴だ。

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金木犀

「まーたフラれたよぉー!」 目の前で大きなジョッキを片手にする可愛い子。 「もー、泣かない泣かない」 いつも通りに頭を撫でる。 サラサラな髪の毛。 「今回は長く続きそうだったよ?結婚の話まで出てたのにぃ…」 「そーだねぇ…」 うるうるした可愛い瞳でこっちを見る。 「私にしなよ」 なーんて。かっこいいことも言えず。 この距離は壊したくないだけだ。 好きな人が出来てきらきらした瞳で話すのも。 デートの相談してくるのも。 失恋して私に泣きついてくるのも。 そんな姿を見れるのが私だけだから。私だけのものだから。 いつになったら、あんたは私に振り向いてくれるのかなぁ。 出会った時から、ずっーと、好きなのに。

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金木犀