あいか

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あいか

[最終話]雨宿りをしませんか

後日また雨が振り出し、  お店のことを思い出して尋ねることにした  幸せな話がいっぱい出来たからだ。  あれ以来ホントの私を出すようにしてみた  暗い所だって出してみたし  ドジな所、ほんとはガサツで口も多少悪いところ  それで離れてしまった人もいたけれど  今も仲良くしてくれている人は  ほんとの友達だと心から言える。    それにあの時告白してくれた男の子は  そんな様子を見ても尚好きだと言ってくれて  まだまだ私のことは知らないけど  これから知っていきたいと改めて告白をしてくれて  初めての彼氏もできた。  そんな話をするために訪れたのだが、、 なんだか様子が違う いつもの「雨宿りをしませんか」の看板がないのだ。 不思議に思いながら扉を開けると  いつものガラス細工たっぷりのお店。  (なんだ、いつも通りじゃん)  でもいつもと違うことがあった  御出迎えしてくれていたあの店員さんがいない  その代わりにおじいちゃんマスターがいるだけだ 「あ、あのいつもの店員さんは?」 「いらっしゃいませ、  ?、店員なら私1人ですが?」 「え、、」  どー言うことだ頭をフル回転させる 「あ、君か!  よくうちの人形にガラス越しに 話しかけてた小学生は  大きくなったものだ」 「え??」 「こっちこっち」  着いていくと窓際でソファーの  ミニチュアに座らセられている女の子の人形 それはどこからどう見てもあの店員だったのだ 「そうかそうか、  ここ最近私が体調崩して休んでる間に  そんなイタズラがあったとは」  ご機嫌そうに笑いながらその人形を  いつものソファーに座らせる 「さあ、いっぱい喋ってあげておくれ」 「え、あの!」  また奥へと入っていきそうなおじいちゃんを止めて  話を聞くことにした するとおじいちゃんはいいでしょうと  私に対面する形で座りお人形を自分の膝に座らせた    その人形は私が小学校高学年の頃から お店に出していて  雨の日はよくガラス越しに 外を見せてあげていたこと その度に小学生だった私が その人形に話しかけていたこと 「なんで忘れてたんだろう、、」   そう、小学生の私はお店だなんて分からずに  ただただ可愛い人形に向かって喋りかけていたこと  雨の日ぐらいしか外から 見える所に置いてなかったこと だから私は雨の日が大好きだった  可愛くて大好きな人形との対話の時間だったから 「でもなんで人間なんかに?  私は幻覚でも見ていたんでしょうか、、」 「いいえ、この子がきっと貴方とまた話したくて  そうしたんですよ  現実あなたのポケットに入ってるそれが証拠です」 「!」  ポケットを漁ると  人形から貰った紅茶葉 「ほんとだ、、」 「私からお話出来るのはここまでですよ さあ、きっとこの人形もあなたと  話したくてウズウズしているよ  いっぱい幸せな話をしてあげてくれ」  そう言うとまたソファーにお人形さんを座らせて  おじいちゃんマスターは奥へと入ってた  私はお人形さんと 目線を合わせるようにしゃがみこんだ 「あのね!!――――」  ―――― 「私が今回美月ちゃんにあげたのは  “本音のおまじない”をかけた紅茶  美月ちゃんは最初戸惑ったようだったけど  それのおかげで上手くいったようでよかったわ🎶」 「ふふ、また空模様が怪しくなってきたわね  これはあなたの空かしら  あなたにもあった紅茶があるみたい  探してみるわ」 「あなたも雨宿りをしませんか」

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[第4話]雨宿りをしませんか

私はまたあの店に行こうとしていた。  外は今日も土砂降り、傘をさして学校を出ると  いつもの店員さんが傘をさして待っていた  「こんにちは」 「今から行こうとしてて!え、てかなんでここに?」 「紅茶の効果が出たようですね」 「え。紅茶?」 「あなたは自分を封印してしまった。 でもそれは貴方自身の勘違いや、偏見もあるんですよ  そしてそれを少しの勇気で確かめる ほんとに封印するのなんて  確かめてからでも遅くはない  あなたらしく生きてください  明日の、いやこれからの人生が晴れるように」  店員さんはスっと私に近づいて  手のひらに紅茶の葉っぱを押し付けた 「また何かあったらその紅茶を飲んでください  もうおまじないはかけてないけど  きっとあなたはその味でまた前を向くことができる  自分の力で空を快晴にできます。」    「ああ、その紅茶葉の料金は  あなたの幸せな話でいいですよ  また聞かせにきてね美月ちゃん」  そう言い残せば初めて笑顔を見せた店員さんは  クルッと後ろを向き歩き出してしまった。 「ありがとうございます!ありがとう!」  なんで私の名前を?  なんで私の高校知ってるの? 聞きたいことは沢山あった  けどそれは今度でいい、  幸せな話をいっぱい持ってあのお店に行こう  そう思いながら学校へと戻った。

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[第3話]雨宿りをしませんか

雨宿りをしませんか3 今日もあのお店へと入る 「いらっしゃいませ  今日も雨ですね」 「ですね、」 「……今日は少し昨日よりも暗いですね」  いきなりの言葉に焦り急いで 反応しようと頭を捻る 「え、あ!すみません!そんなことは」 「空模様のことですよ」  言い切る前に店員さんが口を挟んでくる 「そうですか、、笑」  思わず失笑してしまう  自分の自意識過剰さに笑えて来てしまう 「今日も紅茶を入れましょうか」  ここに来た理由をその言葉を聞いて思い出す 「すみません!昨日お代払い忘れて、、」 「ふふ、良いのですよ  後日払いで」 「え??」  そんなお店があるのか?と考えていると  また紅茶が、目の前に出てくる 「さあ、どうぞ」 「ん、今日のも美味しいです!」 「良かった、昨日のは貴方をイメージして作ったもの  そして今日のは少しの おまじないをかけたものですよ」 「おまじない??」 「ええ、明日が晴れるようにね」 「てるてる坊主みたいなものですかね」 「ええ、そんなものです」  何故だろう  お互い基本敬語で距離を感じるのに  なぜか懐かしく落ち着く  この空間に私はハマりそうだった。  ――  次の日私はまた憂鬱な気分で起きた 「学校かー、嫌だなあ」  私はびっくりした  そんな事思っても 口に出さないようにしていたからだ  母に聞かれては なんて言われるか分からなかったからだ 「お。おはようお母さん」 「はい、おはよう」  今日も今日とて背中を向けて作業する母 「寂しい、」  バッと口を抑えるが  母には届いているらしく 「え??」  こちらを向いてしまった。  だが久しぶりにちゃんと見る母の顔に  私は涙が止まらなかった 「あらあら、、どーしたの??  赤ちゃん返りでもしちゃったかしら」  よしよしと頭を撫でられより一層涙が出た  ――  珍しく少し遅刻をしてきた私をクラスメイトは  ジロジロと見てきた 「見ないでよ」  まただ  今日の私はなんなんだろうか  思ったことがすぐ口に出てしまう 「なあなあ、!今日も課題見せてくれねーか!」 昨日の出来事が無かったかのように  ケロッとお願いポーズをしている  男の子に少し腹が立った   「それぐらい自分でやりなよ」 「え?」  あ、、と口を両手で塞ぐ 「そうだよなー、甘えてたわごめん!」 今度はこちらがポカーンとマヌケな顔になってしまう てっきり嫌われると思っていた、  あんなことを言って嫌われないわけがない  そう思っていた、のに  目の前の人は笑っている 「おいーお前いつも雨宮さんに頼りすぎなんだよ〜」 「あま、みや?」 「??君の名前でしょ?  雨宮美月」  またポロポロと涙が出てくる  名前なんて、呼ばれたのはいつぶりだろうか  不思議な感覚だ  そう、そうだ、私は“私の娘”でも無ければ  “成績優秀者”でもない雨宮美月なんだ。 「せんせ!私早退する!」 いつも以上に大きく元気な声に先生も驚いている  だが構っている暇はない  私は行く場所があるのだ  

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[第2話]雨宿りをしませんか

雨宿りをしませんか2 今日も学校か、  そんな憂鬱な気分で目が覚める  そんな生活がなんやかんや1ヶ月は続いている。    特に梅雨に入った今学校の憂鬱と  梅雨のどんよりした空気で気分は最悪だ。    前まで、小学校くらいまでは 雨好きだったんだっけ  なんで好きだったんだっけ  覚えてないなあ  そんなくだらないことを考えながら  ぼーっと朝ごはんである食パンを頬張る 「もーすぐ定期試験よねテスト勉強は捗ってるの?」  私に背中を向け洗い物をする母から話しかけられ  急いで飲み込む 「うん!お母さん  順調に進んでるよ!」 「そう、さすが私の娘ね  その調子で頑張りなさい」 「うん!」  ――  行ってきます!と大きな声で母に伝え  学校へと向かう  どんどん足取りが重くなる。 「はあ、」  私は学校でも馴染めている方だ  どちらかと言えば友達も多く人気な人間だと思う  そう、周りから見たらそうだろう  学校へ着くと早速声をかけられる 「なあ!今日提出の課題あったよな!見せてよ」 「……、いいよ」 「え、なんか嫌そうじゃない?笑」  ハッと我に返り元気にもう一度返事をする   「ごめんごめん!考え事してた!  もちろんいいよ〜!」 「ありがとう!流石成績優秀者は違うなー!」 「あはは〜」  これが私の日常  別に誰かに頼られるのは嫌な気がしない  なんなら嬉しいくらいだ  でもなんだろう  このぽっかり寂しい感じ。  ぼーっと外を眺めていると  男の子の集団から呼び出される 不思議に思いながらも着いていくと そこは屋上 そしていつの間にか  いつも課題を見せてと言ってくる男の子と  2人っきりになってしまった 「あの!好きです!付き合ってください!」  人生で初めて告白というものをされた  全然相手のことも課題をやらない  ということぐらいしか知らないが好意を持たれて 嫌な感じはしなかった。  でも付き合う前に1つ聞きたくなった 「私の何を知ってるの?」 「え。そりゃ、、元気で成績優秀で  スポーツもできて、、」 「そっか、……ごめんなさい」 「おう、」  初めて告白され  初めて人を振りました。  (何がしたいんだろう自分  別に恋人がほしくないわけでもないし  まあ、勉強には要らないと思うけど)  はあ、とため息が出る  こんな生活いつまで続ければ良いのだろうか  最初こそ成績をあげる度に 母や友人から褒められるのが  嬉しくて頑張っていた、  でもそれは中三の受験が始まった頃から  “当たり前”になっていたのだ。  それが私は苦しくて仕方ない 「辛いなあ、、」  1人取り残された屋上で空を見上げると  また雨がポツポツと降ってきた 「またか」 雨に何かを流してほしいと願いを込めて  私は少しゆっくり教室へと戻った

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[第1話]雨宿りをしませんか

雨宿りをしませんか1 ‘’雨宿りをしませんか?‘’ ある梅雨時の学校の帰り道に  そんなお店を見つけた  (こんなお店あったっけ)    小学校から通っている道だが見覚えのない  たった一言書いてある看板。   なんのお店かもわからない けれど私はなぜかその言葉に惹かれて 入店してしまった 「いらっしゃいませ」 「ここはなんのお店ですか?」 「雨宿りのお店ですよ」  確かに外は雨が降っている。  ザーザーと音を立てて振っている。  でも私は傘を持っている。  少し中を拝見したら出よう。 「そーなんですね」  珍しいお店だな、そんなふうに思いながらも  お店の中をぐるっと見渡した。    中は喫茶店のようにキッチンと  大きなソファーがテーブルを挟んで  2個対面して置いてあり、  あとは普通の椅子と机が何個か置いてあるだけの  シンプルな作りだっただが  普通の喫茶店と違うと感じる点がひとつあった そこにはガラス細工だろうかキラキラした、  雨を彷彿させる置物が沢山あったのだ。 「とりあえずお座りになって?」 「!、すみませんジロジロと」  思わず言われた通りに目の前にある  柔らかそうなソファーに座ってしまう  何屋さんか確認したら  直ぐに出ていくつもりだったのにだ。 (柔らかいソファー、、)    ふと顔をあげ先程までは チラッとしか確認しなかった お店の人を見ると綺麗な黒髪ロングに  お店にもある綺麗なガラス細工の 髪飾りをつけている  まるでお人形さんのような人だった そんな人が目の前で優雅に紅茶を入れている姿は  絵画の中のようだった   「さあ、召し上がって」 「あ、はい、」  この人の言葉には重みいや、圧がある  ひとつひとつの言葉に反応してしまい  ついその言葉通りにしてしまう 「あ!美味しい!」 「ふふ、良かったわ」 「……あなたはなぜここに来たの?」  え??と  お店の人の質問を不思議に思い首を傾げる 「……そう、 あなたはまだここに来た理由がわからないのね  いいわ、もう今日は帰りなさい」  まだ来て少ししか経ってないのに??  不思議に思いながら時計を確認すると  時計は17時をさしていた 「え、もうこんな時間」 「ありがとうお姉さんまたね!」 「紅茶美味しかったです!」  そう元気に伝え  直ぐに扉を開けた 「また、明日」 「??、明日は晴れがいいな!」  外は入店した時よりかは止んでいるが  まだまだザーザーと音を立てている 家までの道のりが心配だ 「……ええ、お気をつけて」  バタンと思ったより大きな音がなり  それにびっくりしながらも急いでいたため  後ろを振り向きもせずに家へと歩き出した。  ――  家でベッドに入ってから気がついた 「私お金払ってない、やばい」  また明日も行くようです。

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